ナットの種類と使い分けの入口
この記事の位置づけ
この記事は、初学者向けの規格メモです。締結設計・トルク管理・材料選定はJIS規格・設計資料・メーカー資料を確認してください。
ざっくり言うと
ボルトとセットで使う締め付け部品がナットです。
六角形のものがよく使われますが、振動対策・薄肉対応・特殊な取り付けなど、用途に合わせた種類があります。
主なポイント
- 最も一般的なナットは六角ナット
- 振動環境ではゆるみ止め対策が必要
- ダブルナット・フランジナット・スプリングワッシャー等が代表的なゆるみ対策
- 材質(鉄・ステンレス・真鍮)・強度区分・表面処理も用途に合わせて選ぶ
主なナットの種類
六角ナット(最も一般的)
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 1種(通常ナット) | 標準的な高さ。汎用 |
| 2種 | 1種より高い。強度が必要な場合 |
| 3種(薄形ナット) | 高さが低い。スペースが限られた場所向け |
JIS B 1181に規定されています。
フランジナット
座面側にフランジ(鍔)がついたナット。ワッシャー不要で面圧を分散できる。配管・板金固定によく使われる。
袋ナット(キャップナット)
先端が丸く閉じたナット。ボルトの突き出し部を保護する・見た目を整えるのに使われる。
ロックナット(薄形ナット)
ダブルナットの外側に使う薄いナット。ダブルナット構成で緩み止め効果を出す。
ナイロンナット(ポリアミドインサートナット)
ナット内部にナイロン(樹脂)リングが入っている。ねじ部に抵抗が生まれ、振動による緩みを防ぐ。再利用は効果が低下するため基本1回使い切り。
ダブルナット(二重ナット)
通常ナット2個を重ねて使う方法。正しい組み方(薄いナットを下側に、通常ナットを上側に締める)をしないと効果が低い。
蝶ナット(ウイングナット)
工具なしで手で締められる羽根付きのナット。治具・カバー・頻繁に脱着する箇所向け。
ゆるみ対策の選び方の入口
| 環境・条件 | 代表的な対策 |
|---|---|
| 軽い振動 | スプリングワッシャー + 六角ナット |
| 中程度の振動 | ナイロンナット / フランジナット |
| 強い振動 | ダブルナット / ネジロック剤の併用 |
| 頻繁な脱着 | ダブルナット(再利用しやすい) |
スプリングワッシャーの効果には諸説あり、重要な部位ではより確実な対策(ダブルナット・ロック剤)との併用が推奨されることもあります。
材質・表面処理の入口
| 材質 | 特徴 |
|---|---|
| 炭素鋼(鉄) | 汎用・強度高い。さびやすいため防錆処理が必要 |
| ステンレス(SUS304) | 耐食性が高い。かじりに注意 |
| 真鍮 | 電気系・外観重視の用途 |
表面処理(三価クロメート、ユニクロ、黒染め)も腐食環境によって選択します。
注意点
ステンレスのボルト+ナットは「かじり(焼き付き)」が発生しやすいため、潤滑剤の使用や締め付け速度への配慮が必要です。
強度区分はボルトだけでなくナットにも規定があります。高強度ボルトには対応する強度のナットを使用してください。